第1回「カラダにうれしい空気を探そう」
データソン実施レポート
(2018年3月10日~4月8日 福岡市)

第1回「カラダにうれしい空気を探そう」データソンの動画はこちら

 

インプットセミナー&ワークアウト
2018年3月10日 JR博多シティ会議室

「カラダにうれしい空気を探そう」是津耕司氏(情報通信研究機構 室長)の開会宣言により、環境×健康スマートIoT実証実験はスタートしました。インプットセミナーには、28名の参加者が参加し盛大な開会となりました。

参加者は、これより約1か月間、ワークアウトとして様々なロケーションを想定して設定した5つのルート(ももち浜ルート、大濠公園ルート、天神ルート、香椎ルート、福岡空港ルート)を歩きながら、情報通信研究機構(NICT)が開発した小型PM2.5センサー、ウォーキングアプリ、さらに市販の体調センサー(心拍数等)を使ってデータ収集を行います。その後、地図編集ツールを使って、収集したデータを基に「カラダにうれしい空気」マップを作成します。また、それぞれのグループにはキャンパスラボのメンバーが“メンター”として参加し、各ルートのテーマ設定やグループディスカッション、ワークアウトなどの活動をサポートします。

開会に際して、梅田智広氏(奈良県立医科大学 教授)より、空気と健康の相関関係・各国の空気と健康に関する講演をいただき、参加者に対して環境と健康に関する認識を高めました。

講演

梅田智広氏(奈良県立医科大学 教授)

今回は空気が身体に及ぼす影響に関して講演いただきました。空気と健康の相関関係や日本国内における健康街づくりの取り組み、海外におけるヘルスケアと環境の取り組みに関して各種資料を提示いただきながら医学的見地に基づいて教えていただきました。

梅田智広氏(奈良県立医科大学 教授)

インプットセミナー時の発表

①ももち浜ルート
ももち浜ルート
どのようなルートか
生活感とレジャー感を堪能できるルート
感じた空気
海を感じる開放感のある空気、様々な観光スポットから感じるワクワクする空気
②大濠公園ルート
大濠公園ルート
どのようなルートか
街の中でも運動がしやすい空気があるルート
感じた空気
街中で自然を感じる落ち着いた空気、運動をしたときに感じる新鮮な空気
③天神ルート
天神ルート
どのようなルートか
繁華街でありながらもリフレッシュできるスポットがあるルート
感じた空気
街中で感じる停滞した空気、公園で感じる落ち着いた空気
④香椎ルート
香椎ルート
どのようなルートか
誰でも住みたくなるような空気のきれいなルート
感じた空気
街路樹から感じる落ち着いた木の空気、すっきりとした海辺の空気
⑤福岡空港ルート
福岡空港ルート
どのようなルートか
飛行場・森・公園・街など短時間に変化を感じるルート
感じた空気
花などから季節を感じる事の出来る空気、森の中のすっきりとした空気

参加者の声

  • とてもリフレッシュでき、楽しく、環境と自身のバイタルデータについて考えるいいきっかけになりました。
  • センサーデータと気持ちの変化がデータによって裏付けられるのが分かり勉強になりました。
  • 環境とIoTと健康がこんなにも進んでいることを知って驚きました。

中間報告会&ワークアウト
2018年3月25日 凸版印刷株式会社 九州事業部

中間発表会&ワークアウトにも、22名の参加者が集まり引き続き盛大にデータソンが執り行われました。今回は、カラダで空気を感じることをテーマに、知覚空気質や瞑想呼吸法について説明を受けた後、グループごとに「カラダで感じる空気にはどんなものがあるか」について議論し発表しました。ワークアウトでは、これまでの小型環境センサーや体調センサーに加え、“五感センサー”も駆使して、カラダにうれしい空気の情報を収集し、写真やコメントでマップ上に掲載しました。

中間発表

①ももち浜ルート
ももち浜ルート
どのようなルートか
日常と非日常を感じるルート
感じた空気
癒しの空気、不快な空気、ひんやりしたいい空気
②大濠公園ルート
大濠公園ルート
どのようなルートか
体を動かすことのできるルート、時間・季節で感じ方が変わるルート
感じた空気
季節を感じる空気、リフレッシュする空気
③天神ルート
天神ルート
どのようなルートか
都会の中喧噪の中でもおいしい空気を感じることのできるルート
感じた空気
人混み・雑踏からくる不快な空気、噴水や屋上などで感じる開放感のある気持ちい空気
④香椎ルート
香椎ルート
どのようなルートか
日常生活の中でおいしい空気を感じることのできるルート(特に風を感じるルート)
感じた空気
暖かさ、すがすがしさ、落ち着く空気
⑤福岡空港ルート
福岡空港ルート
どのようなルートか
空港の雑踏と山を登るルートが混在し空気の差を大きく感じるルート
感じた空気
自然や季節を感じる空気(生きてることを感じる空気)5感をフル動員しないともったいない空気

中間報告会での発表では、各グループそれぞれに“カラダにうれしい空気マップ”への表現がインプットセミナー時と異なり、より具体化した表現へと変化していきました。次回成果報告会でのサービスモデル立案に向けて有意義な成果がでました。

参加者の声

  • 普段の生活で空気を意識することがないので、街の再発見につながりました。
  • 今後のビジネス展開・継続的なデータ収集企画・イベントをしたいと考えました。
  • 自然を感じると空気の実測値とは異なり癒しを感じることに驚きを感じました。

成果報告会
2018年4月8日 凸版印刷株式会社 九州事業部

インプットセミナー・中間報告会での議論を踏まえて、成果報告会では、”カラダにうれしい空気マップ”を誰にどのように使わせるか(サービス化)を検討するアイデアソンを、19名の参加者によって実施しました。ファシリテーターの牛島清豪氏(株式会社ローカルメディアラボ 代表取締役)によるアイデアを生み出す為のワークを実施した参加者は、各グループに分かれた後もメンターを中心とした活発な議論を展開し、限られた時間の中でこれまでに作成してきた“カラダにうれしい空気マップ”の活用方法とそのプレゼンテーション作成に取り組みました。

また、成果報告会では、矢尾雅義氏(凸版印刷株式会社 部長)よりIoTを活用したヘルスツーリズムやウォーキングポイントなど実サービスについて解説して頂き、参加者はサービス化のヒントを得ることができました。

最後に実証実験の集大成として各ルートで作成したカラダにうれしい空気マップを使ったサービスについて、利用シーンの再現ドラマを織り交ぜながら楽しく面白く発表し、会場は大いに盛り上がりました。これらプレゼンテーションは審査委員(奈良県立医科大学 梅田氏、凸版印刷 矢尾氏、情報通信研究機構 是津氏)による厳正な審査の結果、最優秀賞には大濠公園ルート、優秀賞(BODIK賞)には天神ルートが選ばれた。また、個人賞として、最もたくさん歩きデータを集めた方に贈られるMVP賞や、各グループのメンターから推薦された方に贈られるメンター賞の表彰も行われました。

講演

矢尾雅義氏(凸版印刷株式会社 部長)

健康×IoTの取り組みとして、凸版印刷様がすでに実証している自治体におけるヘルスケア事業を用いた街づくりの説明や環境をキーワードとしたヘルスツーリズムによる地方送客による地域活性に関してご講演いただきました。

矢尾雅義氏(凸版印刷株式会社 部長)

成果発表

①ももち浜ルート
ももち浜ルート
タイトル
マッチングアプリ「Air Coupling」
サービス概要
同じ”キレイな空気の感じ方“を持つ男女のカップリング支援アプリ空気の感じ方アンケートを実施し、自分と同じ空気の感じ方の感性を持つ人をマッチングすることで、福岡のフィールドにおいて出会いの場を生み出す。
最優秀賞
②大濠公園ルート
大濠公園ルート
タイトル
“どっかつれてってー↗”~家族の“心”も“からだ”ももっと豊かに~
サービス概要
家族・仲間と出かけたい日時を入力するとDBからAIが場所のおいしい空気や目的を計算し最適地をレコメンドする(DBは参加者自らが構築します)。このアプリを使用することで、家族間のコミュニケーション増大や地域コミュニケーションの拡大を実現。
優秀賞
③天神ルート
天神ルート
タイトル
“おいしい空気と弁当マップ”
サービス概要
仕事のストレスや運動不足を解消するために必要な”食と環境”。このアプリケーションを移動お弁当やさんに提供する事でその日最も健康に最適なお弁当販売スポットを提示。地域で働く会社員はそのアプリケーションを見ることで自然とストレスや運動不足を解消する行動をとることになる。
④香椎ルート
香椎ルート
タイトル
あいたガーデンコミュニティ
サービス概要
地域に住む主婦を対象とした空気を活用した主婦コミュニケーションアプリ。蓄積した空気のセンシングデータを基に、洗濯・掃除をする最適日・時間を提供。家族みんなでの余暇を過ごすためのリフレッシュメントスポットをレコメンドする機能を実装。
⑤福岡空港ルート
福岡空港ルート
タイトル
リフレッシュルート提案アプリ「菊之助に聞け!!」
サービス概要
暇を持て余した若者、トランジット待ちの会社員が主なターゲット。ターゲットがこのアプリを使用すると「菊之助に聞け!!」に蓄積された、空気情報・地域情報・その地の歴史情報が提供され、これを用いてプチトレッキング等を実施し、頭も体もリフレッシュできる。
作成されたマップを見る

参加者の声

  • これまでの実験に参加することで、空気に対しての考え方が大きく変わりました。
  • 新たな地域発見、新たな人の出会い、新たな考えの出会いにより大きな刺激を受け、視野が広がりました。
  • メンターによる上手なテーブルファシリテートのおかげでスムースに議論が形成されました。