第2回 環境×健康スマートIoT実証実験
「カラダにうれしい空気」を見える化。
健康ポイントサービスをレベルアップ。
(2019年3月23・24日、4月6・7日 福岡市)

第2回「環境×健康スマートIoT実証実験」データソンの動画はこちら

 

実証実験の概要

 本実証実験では、昨年度に実施した住民参加型実証実験(「カラダにうれしい空気を探そう」データソン)により参加者から提案されたサービスを一部拡張して具現化し、サービス体験とアイデアソンを組み合わせた住民参加型実証実験を実施しました。目に見えない空気の品質を可視化し、空気そのものに新たな価値を与えることで、実生活の中でどう利活用できるのか、そのアイデアの創出を目的としています。

実験参加者は、年齢20代から60代、職種も学生・IT関連・福祉関係者・新事業創出職などと幅広い方々に参加して頂きました。2日間を通したスケジュールを組み、1日目は市内の空気品質の予測結果をマップ上に表示したスマートアプリを使用したオリエンテーリングを実施し、より大気環境の良いルートを選びながらのウォーキングを体験することで、普段はあまり意識しない空気についての意識を高めました。その体験を基に、2日目は空気品質による付加価値を付けたサービスのアイデアソンを実施しました。発表後は、有識者による講評が行われ、環境と健康、街づくりなどの社会課題についての理解を深めました。サービス体験を導入したアイデアソンにより、より実生活に即した意見を広く集めることができ、この仕組みの社会実装への道筋が見えてきました。

実証実験実施内容

1日目▶オリエンテーリング実施

大気環境の実測データを基に、機械学習の手法を用いて数時間後の空気品質を予測する技術を開発し、それを実装したアプリケーションを用いたオリエンテーリングを実施しました。オリエンテーリングでは、空気品質と活動量を掛け合わせた大気質累積(暴露)量をEeP(Environment X Exercise Point)として可視化し、参加者はEePが多くなる(空気品質のより良い場所でよりたくさん活動する)ようなルートを探しながら、福岡市内に設置した数か所のチェックポイントを回りました。その間、小型IoT環境センサーにより大気環境を計測、さらにセンサーでは測ることができない周辺環境の知覚や主観の情報をアンケート形式で取得しました。

2日目▶アイデアソン実施

1日目のオリエンテーリングで空気品質を体感した参加者は、ファシリテーターの牛島清豪氏(株式会社ローカルメディアラボ 代表取締役)によるアイデアを生み出すためのワークを受けた後、アイデアソンを実施しました。さまざまな世代、職種により編成されたチームでは、いろいろな立場から意見が出て活発な議論が展開されました。最後に各チームがプレゼンテーションを行い、成果を発表しました。
プレゼンテーションは、国立研究開発法人情報通信研究機構 是津耕司審査委員長をはじめとした審査員たちにより厳正に審査し、優秀なプランには表彰が行われました。

第1回実験
2019年3月23・24日
(1日目:福岡市周辺、2日目:凸版印刷九州事業部)

第1回実験は天候に恵まれ、27名の参加者が集まって盛大に行われました。2日目のアイデアソンでは、是津耕司氏や奈良医科大学の梅田教授、StartupGoGo中原氏が厳正な審査を行い、優秀なアイデアには各賞が授与されました。また、梅田教授には健康と環境に関する講演をいただき、参加者全員がこの事業に関する理解を深めました。

アイデアソン

きょういくときょうよう
きょういくときょうよう
■ターゲット
3世代(祖父母、父母、子)別居している高齢者とその家族
■内容
環境情報を記録するアプリを用いてエリアごとに付与ポイントを設定。該当エリアで運動することでポイントを獲得。バイタルセンサーと連動でユーザーとその家族に対してデータのフィードバックを行える高齢者見守りアプリ。
福岡おでかけ+
福岡おでかけ+
■ターゲット
30~40代子持ち(保育園~小学校低学年)女性
■内容
パーソナルデータ・目標・避けたいことを初期設定し環境情報と位置情報を連動させ、地図データを利用して日よけや紫外線の情報を踏まえたオススメ「コーディネート」「コース」「お店」を提案してくれるアプリ。その日のコーディネートや料理の写真を投稿することでポイント獲得。ポイントは商品交換や割引にかえて使用できる。
あんしんさんぽ
あんしんさんぽ
■ターゲット
都心部の子供を持つ世帯。公園デビューした子供
■内容
訪れたい公園を地図上で選択することで、空気が一番きれいな目的地までのルートを提案してくれるアプリ。公園に行くとポイントを獲得でき、ポイントは近隣の施設で育児用品との交換に使用できる。子供の安心した遊び場の提供と地域の消費アップを実現できる。
「INUSTAGRAM」
「INUSTAGRAM」
■ターゲット
運動不足の人且つ犬を飼っている人、または飼うことを検討している人
■内容
犬の散歩に最適な場所は提案、飼い主と犬がより良い環境で効率良い「散歩」を支援するアプリ。犬の散歩で訪れたおすすめの場所を投稿、シェアですることでポイントが獲得でき、ポイントはペットショップや胴部t病院で使用可能で飼い主と犬の健康を総合的にサポートできる。
最優秀賞
AIR美
AIR美
■ターゲット
20〜40代の、キレイを目指す女性
■内容
紫外線、湿度、オゾン(UV)などのデータから導き出した、健康的な美しさを実現する美容空気度を表示するアプリ。このアプリを活用して歩くことでポイントを獲得し、ポイントは化粧品、スーパーフード、サロンなど、健康美につながる商品やサービスと交換可能。

講演

梅田智広氏(奈良県立医科大学 教授)

今回はご知見のある環境と健康の関係性を基に、IoT等を活用した健康×IoT×環境サービスの研究開発状況と具体的な取り組みを交えてご講演いただき、先進技術を活用しより良く生活するための気づきを教えていただきました。

梅田智広氏(奈良県立医科大学 教授)

第2回実験
2019年4月6・7日
(1日目:福岡市周辺、2日目:凸版印刷九州事業部)

満開の桜が咲き誇る福岡市に総勢25名の参加者が集まり実験は行われました。2日目のアイデアソンでは、是津耕司氏や福津市の副市長松田氏、凸版印刷の矢尾氏による厳正な審査のもと、優秀アイデアに各賞が授与されました。また、松田副市長から持続可能な住民参加型のまちづくりに関する講演をいただき、参加者は事業創出に関する理解を深めました。

アイデアソン

It's クリーンワールドザメモリー
It's クリーンワールドザメモリー
■ターゲット
訪日外国人観光客
■内容
観光中にごみ拾いをすることでポイントを獲得。ポイントは花の種と交換することでき、その種をアプリが提案するスポットに植えることで旅行の思い出作りを実現。環境保全にも寄与できる。
あなたのキセキ
あなたのキセキ
■ターゲット
20代働く女性、美意識が高い
■内容
健康・美容度を可視化、管理するアプリ。運動の提案、食事提案の機能もあり総合的な健康・美のサポートが可能。健康ポイントと美容ポイントを獲得し美容品等との交換が可能。
最優秀賞
俺ウェルネス
俺ウェルネス
■ターゲット
健康を意識し始めるがどうしたらいいのかわからない35歳以上の男性
■内容
健康支援サポーター(キャラクター)が生活習慣の改善をサポート。目覚まし時計機能、天気、気温、PM情報、花粉などの大気質情報の表示機能、歩数、カロリー情報、起床時間等の提案昨日を用いて、健康的な生活を支援。
AroundA
AroundA
■ターゲット
訪日外国人旅行客
■内容
地方創生の観点からおすすめの観光地を提案するアプリ。良質な空気が存在する場所を中心に提案し、付近の協力加盟店とも連携。歩数や加盟店での消費によりポイントを獲得しクーポンと引き換えが可能。
カホゴのワガコ
カホゴのワガコ
■ターゲット
3歳から5歳までの子供を育てている親
■内容
子育て応援ポイントとして、「カホゴポイント」通称「カホポ」を付与し、ポイントに応じて子育てグッズと交換が可能。環境情報の確認機能もあり、ポイント付与スポットへチェックインし子育てに役立つ情報をアプリ上で提供することポイントを獲得。

講演

松田美幸氏(福岡県福津市 副市長)

今回は地域資源を活用したまちづくりについて、福岡県福津市における住民協働でのWell-beingのまちづくりと、関連するSDGs(持続可能な開発目標)における社会課題解決の取り組みについて分かりやすくご講演いただきました。

松田美幸氏(福岡県福津市 副市長)